なぜ塾を始めたのか

こんにちは。みやうち塾です。

 

今回は塾長、池畠悠の記事になります。

かなり長文ですが、お付き合いください。

 

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『なぜ塾を始めようと思ったのか』

 

なぜ塾を始めようと思ったのか、根本的な理由に応えることは難しいです。人の決断にはその人の意思だけでなく生活習慣、信念、環境等いろいろな要素が影響を与えているからです。行動の原因を一元化することは難しく、多元的なものだと考えています。自分の行動の根本は直感だといつも思っています。ですので、塾をやったらすごくいいと思ったということが率直な回答です。しかし、その最後の直感を後押しした原因としては適性、問題意識、タイミング3つの要因があると考えています。

 

1つ目は、教えるということへの適性です。この適性と言うのは、教えるのがめちゃめちゃ得意だと言うことではありません。そうではなく、学問を教えると言うことに深い興味があったということです。ではなぜ学問を教えることに興味を持ったのか、大きく二つのきっかけがあると思います。まず一つ目は、僕自身の生まれに関わるものです。僕の父親は数学者であったため、幼いころから無限とは何か、とか波動の収束をどう表すのかといった話を聞かされていました。話半分に聞いていましたが、そういう環境で育ったため学問をするということに全く抵抗がなかったです。ですので、学校の勉強も遊びの延長で聞いていました。このように、学問と深く関わる環境にいたことは1つの大きな要因だと思います。二つ目の理由は、学生時代に自分が講師をしたときのやりがいです。学生時代、大手学習塾でアルバイトをしていましたが、そのとき、自分の思考を言語化することの難しさ、そしてその理論が生徒に伝わったときの嬉しさを体感しました。このときに、感じた、講師という仕事へのやりがいも一つの要因だと思います。

 

しかし、単に教えると言うことに深い興味があっただけでは自分で塾をやると言うことにはならないです。学校の先生になるか、どこかの塾に就職すると言うのが一般的な回答だと思います。ではなぜそうせずに自分で塾を開いたのか、その理由は教育に対して問題意識を感じたからです。この問題意識が二つ目の要因だと思います。

 

教育に対する問題意識を最初に抱いたのは、僕が中学のころです。中学時代は、人生を通してもっとも壁を感じた時期だったと思っています。

僕は小学校の頃からずっと野球にはまっていました。地元の広島では、小学校では野球よりソフトボールのほうが盛んだったため、小学校のときはソフトボールをしていましたが、中学校に入ってからは野球をやろうと思っていました。小6のときは4番でキャプテンをしており、中学に入学したらプロ野球選手を目指して頑張ろうと思っていました。

そんな中、当時の地元の中学がとても強く、全国制覇を目標に掲げていたこともあり、迷わず中学の野球部に入学しました。そんな、希望とともに始まった中学生活でしたが、現実はそう甘くないということを思い知らされました。

学校の存在意義を強く考えるようになったのは2年生になった時です。僕が2年生になったとき、監督が代わりました。この時、本当にチームが変わったのを覚えています。新しく監督になった先生は野球をしたことがなく、正直僕たち選手はかなりなめた態度をとっていました。また、アドバイスやミーティングなどもいちいち気に食わず、話も聞いていませんでした。このように選手と監督との信頼のないチームが強くなるわけはなく、僕が三年生の時には1回戦か2回戦で負けてしまいました。自分自身の中でも、成長したと思えることはほとんどなく、小学校の頃の方が野球うまかったんじゃないかと思うほどでした。この時、野球はもうやめようと本気で思いました。市大会で終わるようなチームの選手が強豪校で相手にされるわけもなく、かといって弱小の公立で野球をやっても大して意味はないと思っていました。

そんな時、僕の父親が広島東ベースボールクラブというチームを紹介してくれました。普通は中三から入れるチームはないのですが、できたばかりということもあり入団を認めてくれました。団員として活動したのは3年の夏休みから卒業までの半年でしたが、本当に救われました。その中で高校野球に必要な基礎を教えていただきました。野球に対しても前向きになり、もう一度野球を極めようと決意しました。

この時、なぜ学校に行くのだろうと本気で考えるようになりました。正直、学校の勉強ではわかりきったことを確認するだけで特に面白いと思うことはなく、クラブチームで練習している方がよっぽどためになったからです。そもそも、学校に行きたいと思って行くっている人はほとんどいません。ただ、気が付けば行くようになっているだけだと。先生も毎日大変そうだし休みにしちゃえばいいのではないかと思っていました。

 

このとき、学校制度というものを強く意識したことを覚えています。よく、「烏合の衆意」という話をある先生から聞かされていました。目的のない集団に存在意義はないと。ただ、学校が「烏合の衆意」となることを否定することに対しては大きな抵抗がありました。なぜならば、そもそも学校は行きたくて行くところではないからです。どうしても僕たちはミクロな視点で物事を見てしまいます。しかし、学校という仕組みを作ったのは個人ではなく国と言う大きな組織です。そうであるならば、個人と言うミクロな視点ではなくマクロな視点で考える必要があります。このマクロな視点で考えたとき、教育の本当の意味が見えてくると思います。

教育の目的は、社会を持続するためにあるというのが僕の個人的な考えです。根本的に、仕事と言うのは人がやりたくないことをするものだと。しかし、このやりたくないことを誰かがやらなければ社会は回っていきません。そして、ある特定の人物にしか出来ない仕事もあります。その仕事をできる人材を育成する必要があります。この人材の育成と最適化を行うことが学校教育の一番の目的だと思いました。勉強ができることがえらいのではなく、勉強ができるということがえらいと位置づけられているのではないかと。

学校では、テストの点数で頭がいい、悪いを判断します。そしてテストの点数に基づいて評価(通信簿)を下し、それによってつける職業の幅を大まかに決めるという仕組みを取っています。おそらく、皆さんが「勉強しなさい」といわれるのも、今の日本がこのような人材育成制度を取っているからだと思います。

 このように考えた時、勉強することへの価値を見失ったのを覚えています。テストでいい点数を取って偉そうにしたところで、結局国が設定した「お勉強」という枠組みの中で、少しいい立ち位置を取ったというマウントに過ぎないのではないかと。もちろん、将来医者になりたい、や、学者になりたいという目標があれば別だったと思います。しかし、自分の父を見ていて、そんなに学者になりたいとは思いませんでしたし、血が怖いので医者は無理でした(笑)

 

この文章だと学校のことを強く批判しているかのように捉えられてしまうかもしれませんが、学校の先生が嫌いとかそんなことは全くありません。むしろ、学校の先生のことをとても尊敬しています。私の友だちにもたくさん先生になられた方がいますが、素晴らしい方ばかりです。当時生意気を言ったのに温かく指導していただいた先生方にはとても感謝しています。ただ、今の教育制度のあり方がベストではないと言うことは強く感じます。時代とともに社会の制度は大きく変わっていきます。そうであるならば、教育制度が変わることもまた必然だと考えています。僕たちがやるべきことは、学校が必要かいらないのかと言う二項対立的な枠組みで問題を考えるのではなく、これまで教育に携わってきた方々の思い、伝統を受け継ぎながら、新しい仕組みに挑戦していくことだと考えています。

 

他にも、教育制度への問題意識を感じたことがあります。それは僕が大学時代学習塾でバイトをしていたときのことでした。当時、集団指導を担当していたのですが、クラスの中で理解度に差があり、全員に合わせて指導することがとても難しく感じました。逆に個別指導塾にも勤めていましたが、費用面から学習時間を確保することが難しく、伸び悩んでいる生徒さんも多くいました。また、塾の先生の待遇にも課題を感じました。当時の塾の社員さんと飲みに行くことがあったのですが、朝から夜遅くまで働いてこの給料かと驚いたのを覚えています。もちろん、他の業種でも大変な苦労はあると思いますが、あまりにも待遇が悪いことは人材の流出に繋がります。

こういった業界の状況を見ていて、自分なりに改善点を考えていたことは今に繋がっていると思っています。

 

3つ目の理由は、タイミングがベストだったことです。僕は中学生のとき、プロ野球選手になろうと強く思っていました。中学生になるにつれて、いろいろと現実を知るようになります。しかし、その中で、自分が本当に誇れる仕事ができるように、人生をかけて挑もうと思っていました。どこまで続けられるかはわかりませんが、できるところまで野球を極めようと思っていました。そして、そのできるところの終わりがきたと感じたのが大学4年の冬でした。僕は大学時代野球部に所属していました。しかし、1軍の試合に出たことはなく、野球を続けることはとても難しく感じていました。そんな中、最後の望みをかけて独立リーグのトライアウトを受けました。このとき、周りに高校生が多くいたことをよく覚えています。ちょうど4年前、僕たちは大学に入学し大学野球という新しいステージに挑戦していました。しかし、僕自身そのチャンスをものにすることは出来なかったです。そんな中、下からはまた新しい世代が出てきます。僕らが4年前にチャンスをもらったように、彼らもまたチャンスをもらっているのです。このとき、自分が野球を続ける時代は終わったなと思いました。どんなことにも終わりがあり、新しい世代への交代のときがきます。そのときが来たということを強く感じました。

逆に、社会人としては1年目です。これからまた新しいことができると考えるととてもわくわくしました。どうせ就職するなら、問題が多くて、困難の多い業界に行きたいと思っていたので、講師をしていたときの先生の大変さを考えるととても面白そうだと思いました。

 

 

 

『今後の目標』

 

塾をやる上での目標は、関係者の皆さまに「入ってよかった」といって頂ける塾にすることです。そのためには、勉強を出来るようにし、具体的な数値で結果を出す必要があります。

ここまで大げさなことを書いてきましたが、みやうち塾、こだなか塾(2019年4月オープン)自体はものすごくシンプルな学習塾だと思っています。塾に求められていることはあくまで成績を伸ばすことです。我々の役割は、その期待に応え、生徒・保護者様が思っていた以上の結果を出すことだと考えています。

具体的には定期テストで成長を実感してもらうこと。そして、三年生全員が第一志望校に合格できることを一番の目標にしています。

しかし、現状まだまだな部分も多くあります。運営をしていく中で、こんなサービスがあったらいいと思うことは多々ありました。その思いを形にすべく、自社でBeyondPlaceというアプリを作成しました。このアプリを導入することで、塾の運営をより進化させたいと思っています。

 BeyondPlace導入の目的は大きく3つです。1つは生徒にカスタマイズされた学びを実現すること。2つ目は根拠のある学びを可能にすること。そして3つ目は、先生という職業を再定義することです。具体的な中身に関しては今後ご紹介させていただきたいと思っています。

ITがあれば何でもできるという「とりあえずIT」という考えには否定的ですが、うまく使うことでより良い塾を作れるという手ごたえを感じています。現場に合わせて仕様も変化させていきます。

 

塾を開業してもうすぐ2年が経とうとしています。ここまで多くの方々に来ていただき本当に感謝しております。しかし、何事も始めることに意味があるのではなく、続けていくこと、成長し続けることに本当の価値はあると思っています。今後何十年と地域に愛される塾になれるように、塾を立ち上げた初日の気持ちを忘れずに挑戦し続けたいと思います。

 

今後もよろしくお願いいたします。